こんにちは。
インテリアコーディネーターのむめすけです。
今回は、本革と合皮の違いについて、説明します。
よくソファ選びの際に、「本革と合皮どっちがいいの?」とお客様に聞かれます。
ソファの場合は本革がおすすめですが、”ソファの場合は”です。
それぞれ異なる特性があり、向き不向きがあります。
こちらでは、本革と合皮の違いやそれぞれのメリットとデメリットについて解説します。
この解説を読むと、自身に適した素材選びができるようになるので、最後までご覧ください。
本革はどんな素材?

本革の原料は、動物の皮です。
剥いだ皮になめし加工という処理を行うことで、本革となります。
なめし加工には、皮が腐敗するのを防ぎ、肌触りを柔らかくする効果があります。
なめし加工無くては、本革としての用途として成立しません。
なめし加工の種類
なめし加工には、代表的なもので2種類があります。
・タンニンなめし
昔ながらの方法です。
植物天然由来(ミモザ・チェスナット・ケブラチョなど)の渋み成分で加工が施されます。
仕上がりは固めで、経年による色味の変化を楽しめるのが特徴です。
かなり手間と時間がかかるので、金額としては高価になりやすいです。
・クロムなめし
→塩基性硫酸クロムを主成分とした化学剤で処理したものをいいます。
ここ100年くらいで始まった方法です。
タンニンなめしに比べて短時間で加工処理ができるため、大量生産が可能になりました。
市場に出ている本革製品の8割以上は、このクロムなめしです。
柔らかめな仕上がりと、薬品独自の青みが生地の断面にみられるのが特徴です。
主になめし加工はこの2種類ですが、近年はこの2種類とも施すコンビなめしという方法もとられています。
コンビなめしは互いの良さを出したり、悪いところを補う効果があるため、需要が高くなってきています。
本革のメリット

本革の理解を深めたところで、メリットをあげてみます。
- 耐久性に富んでいる
→正しくメンテナンスを行えば、20年以上使用可能と言われています。
ソファの買い替えサイクルが約10~15年ほどです。
そのため本革だとメンテナンスさえしていれば、基本的に張り替え不要ですね。 - 経年による風合いの変化を楽しめる
→布の場合は経年により劣化してしまいます。
対して本革は、経年によりヴィンテージレザーとして美化していきます。 - 通気性があり、吸湿性・放湿性に優れている
→一見蒸れやすそうな本革ですが、実は通気・吸湿・放湿性に優れています。
クローゼットに長い間放置していなければ、カビが生える心配はありません。 - 修繕可能
→本革は万が一切れてしまったり、ひび割れが出てきてしまっても修繕することができます。
新品同様にまでは難しいですが、ヴィンテージレザーの風合いで修繕が可能です。
本革のデメリット
続いて、本革のデメリットを挙げていきます。
- お手入れが必要
→本革はいわゆる皮膚です。
人間が肌の保湿をするのと同様に、本革も保湿が必要です。
製品によってメンテナンス時期は多少異なりますが、3か月に1回くらいは専用のクリームを塗る必要があります。 - 金額が高い
→天然素材なため、金額が高いです。
ソファなど面積が大きくなればなるほど、本革と合皮の金額差は開きます。
同じサイズの製品でも、倍くらい変わります。 - 耐水性が低い
→なめし加工の種類によって多少変動はありますが、基本的には水に弱いです。
水に濡れることで、型崩れやシワ、シミなどの傷がついてしまいます。
こればっかりは、耐水加工をオプションで付けるなどで対策が必要です。 - 紫外線によって変色しやすい
日光に長く当たることで、本革は変色をします。
変色をあえて楽しむ人もいますが、家具の場合は部分的に当たって色むらになってしまいます。
合皮はどんな素材?

合皮は格子状になった繊維に合成樹脂を貼り合わせて、表面を本革のような柄を型押しして作られた素材です。
見た目は本革にそっくりですが、合成レザーならではのスベスベした肌触りがあります。
また、石油などの化学物質が原料となるので、独特のいわゆる”新品の匂い”がします。
合皮の種類
合皮にも種類があります。
こちらでも代表的な2種類を挙げていきます。
- PVCレザー
→表面の仕上げが塩化ビニル樹脂で仕上げられているものを指します。
ツヤ感があり、防汚性に優れています。
カラーバリエーションが豊富であることが特徴です。 - PUレザー
→表面の仕上げがポリウレタン樹脂で仕上げられているものを指します。
PVCレザーと比べるとマットで柔らかな質感があり、より本革らしいです。
比較的PVCレザーよりも高級といわれています。
合皮のメリット
それでは、合皮のメリットを挙げていきます。
- 耐水性がある
→本革の欠点を補うべく、耐水性に配慮して作られています。
多少水をかぶったとしても、すぐに変色・変形してしまうことはありません。 - お手入れが楽
→本革のようにクリームを定期的に塗布するなどのメンテナンスが不要になります。
また、PVCレザーは耐久性が高いので水拭きなどガシガシしても大丈夫です。
クリーナーも専用のものでなくても、中性洗剤などで対応できます。 - 低価格
→本革と比べると、雲泥の差です。
材料費や加工費が圧倒的に安く済むので、革の高級感を楽しみながら低コストを叶えられます。 - 軽い
→本革の靴を履いて、重さを感じたことはありませんか?
もちろん靴底などの内部構造も関係していますが、合皮は軽く作ることができます。
合皮のデメリット
一方、合皮のデメリットを挙げていきます。
- 耐久性が低い
→水や洗剤などの一時的な耐久性はありますが、摩擦などの長期的な耐久性は低いです。
表面のひび割れ、剥がれ、破れなどは5年程度で発生するので、本革と比べたら耐久年数は4分の1程度となります。 - 修繕ができない
→一度ひび割れや剥がれなどが生じた場合、基本的に修繕ができません。
そのまま使うか、張り替えや買い替えになります。 - 通気性が低い
→水に強いぶん、通気性に劣ります。
ソファだと蒸れが気になる場合があります。
通気性が低いと、カビが発生しやすいという欠点にもなりかねません。 - 本革と見比べるとチープな印象に見える
→全く気にならない人もいると思いますが、合皮には人工ならではの不自然なツヤがあります。
そしてそのツヤ感が本革と比べると、チープに見えてしまうところがあります。
ソファなど、革が占める割合が大きいほどその差は顕著に見えるものです。
最後に
これまでに、それぞれの特徴を解説しました。
本革は高価ですが、物持ちの良さや風合いを楽しめること、耐久性に優れています。
そのため長く使っていきたいものに適しています。
一方、合皮は低価格で寿命が短かいことから、買い替えが頻繁な場合に適しています。
なんでもかんでも本革より合皮が悪いということはありません。
合皮は耐水性があり、軽いのでランドセルにはぴったりですよね。
それぞれの特性を理解した上で、選ぶとより良いのではないでしょうか。
以上、インテリアコーディネーターのむめすけでした。
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